株式会社ザッパラスが運営する開運メディア「開運を科学する。開運研究所」の設立記念トークイベントが、2020年1月6日にミッドタウンカンファレンスで行われました。司会進行は田中泰延さん(青年失業家)と、長谷川晃一(開運研究所所長)。
イベントは二部制になっており、第一部のテーマは「開運を科学する」。第二部のテーマは「占いの可能性」。
第一部の出演者は、川田十夢さん(AR三兄弟 長男)、高桑蘭佳さん(メンヘラテクノロジー代表取締役)。第二部の出演者はSUGAR(占星術研究家)、シャープさん(シャープ公式ツイッターの中の人)、カツセマサヒコさん(ライター・編集者)。
豪華な出演者が一同に会したためか、170人ほどの会場は満席です。観客からの熱い視線が壇上に注ぐ中、イベントはスタートしました。

「開運を科学する。開運研究所」とは?
そもそも「開運を科学する。開運研究所」とは一体なんなのか。青年失業家の田中泰延さんと、開運研究所所長で、占い師でもである長谷川晃一の対談から始まりました。

長谷川 ザッパラスは占いを手がける会社で、2000年からiモードやEZwebなどでの月額コンテンツのほか、チャットや電話で占えるサービスを運営しています。
運というと、生まれつき持って生まれるもの、巡ってくるものという言われ方をします。ところが、仕組みさえわかれば、誰でも自由にコントロールすることができるものなんですよね。
吉凶とは、波のように移り変わるもの。だったら、いいときにピリオドを打てばいい。いいところでピリオドを打っておけば、起きたことが全部いいことに。「こんなことしなきゃよかった」で終わるのではなく、「じゃあ次はこれを糧に、こうしてみよう」というところで終わればいいわけです。
田中 カジノで「勝ってるときにやめれば常に勝ち」というのと同じですね。
長谷川 そう。人って物事や人生を「成功」か「失敗」のどちらかに分けようとしがちです。でも、物事も人生も本当は一本道。失敗は成功への過程でしかない。大事なのは「しまい方」であって、すべて「成功」か「成功への糧」にしてしまえば、誰でも開運できる。これが運の仕組みです。
忙しかったり、心配事があったりすると視野が狭くなるものなんですが、占いがやってきたのは、この視野を広げる作業です。たとえば、ある占い師に「3ヶ月後に素敵な人があらわれる」と言われたとします。すると、「この人かも」って具合に、いままでだったら恋愛対象として見ていなかった人も目に入ってくるようになって、結果的に出会ってしまう。
田中 気になっちゃうんだ。
長谷川 そうです。「そろそろ来るのでは?」という気持ちから、視野が広がり、チャンスを発見する力がつく。次のポイントは、訪れたチャンスにどう取り組むかなんですけど、効率的に挑戦したいですよね。
田中 数をやるとなると、めちゃめちゃしんどいですよね。
長谷川 そうなんですよ。そこで、ストレスなく気軽に挑戦できるように脳やこころの仕組みを、ARやAIでハックして開運へと導く、というのが「開運を科学する。開運研究所」のコンセプトです。これまでのように占いだけではなく、心理学や脳科学、テクノロジーの視点も取り入れて幅広く運に取り組んでいく計画です。
第一部「開運をハックする」

第一部のトークテーマは「開運を科学する」。出演者はAR開発ユニット「AR三兄弟」の長男として活動する川田十夢さんと、「幸せに病める世界を作る」ことを目的にアプリ開発などを行う会社「メンヘラテクノロジー」の代表取締役である高桑蘭佳さん。
田中 十夢さんによるARのおもしろい取り組みを教えていただけますか?
川田 ここにスポーツの競技動画があります。それを僕がプログラムを作ったスマホのカメラアプリで読みこむと、選手の骨格情報を抽出できます。すると……。
(川田さんが先ほどの動画のスポーツ選手と全く同じように動いている動画が再生される)
田中 まるで自分がやっているかのようなAR映像を見せられるわけですね。競技ができない人でも、実際にやってみようと思う人がいるのでは?
川田 いますね。テレビ番組に出たときに、ヒロミさんにマイケルジャクソンの骨格情報を仕込んだ動画を作って、本人に見せたんです。そうしたら「次の日からダンス教室に通う」と言ってました。
田中 AR映像を作ることで、実際の行動のほうへと向いていく。それって、占いで「3ヶ月後に素敵な人があらわれる」と言われて、猛然と出会いを模索し、結果的に出会えるのと同じ構造じゃないですか。最初に結果を知らせちゃう。それに自分がついてくる。
「開運研究所」では、「あなたの未来像はこうですよ」というのをARで実装するところを十夢さんにお願いしたいなと思っています。

川田 長谷川さんと以前「運命の糸の可視化する、テクノ縁結び」というアプリを開発したんですが、生年月日の情報をもとに、たとえば恋愛運がいい人同士、や仕事運のいい人同士の線がつながって見えるARアプリです。

田中 それめっちゃいいですね。
川田 恋愛運、仕事運、金運、友情運などを可視化する実験をしました。これ、知らない人同士でも会話が弾むんですよ。話すきっかけができるから。
田中 確かに、人と出会わない限り、新しいことって起こらないですよね。
では次に高桑さんにおうかがいしたいのですが……。メンヘラでも、開運はできるんですかね?
高桑 会社を立ち上げてからいろんな方とお会いする機会があるんですが、とくにクリエイターや芸能関係のなかに、「実はメンヘラ」って方が多い。病みながらも豊かな感性を活かして活躍しているというか、「強いメンヘラ」っていうのはあるなと感じています。
田中 テクノロジーと開運をマリアージュさせるようなことって、できませんでしょうか?
長谷川 気持ちを軽くしてくれるという意味では、メンヘラテクノロジーさんが発表した「メンヘラせんぱい」も開運といえるのではと思います。

高桑 そうですね。「メンヘラせんぱい」は、メンヘラが病んだときに気軽に相談できるアプリ。病んだ経験のある人が親身になって相談にのってくれるチャットサービスで、AIではなく、実際の人が対応してくれるのがポイントです。
田中 なるほど。今回のゲストはおふた方とも、どちらかというと工学系。テクノロジーを使って開発をされているお立場から、今後手がけたい事で、開運をハックできそうなものはありますか?
川田 専門家から世界がどう見えているかを可視化できるものを作り始めています。誰かの感覚に接続するみたいに、何かに特化した人の五感を手に入れたとき、世界はまるで違ったものに見えるだろうなと思うんです。これを応用すれば、自分の運を磨いて、出会いにつなげている人の世界の見え方もわかるかもしれない。
これはメンヘラにも通じると思っていて。たとえば既読にせずLINEを放置してると、「相手にこう思われちゃうよ」「早めに返事したほうがいいよ」みたいのがプッシュできたらいいと。
田中 確かに、同じ人に電話を6回くらいかけたあたりで、「やばい感じになってるよ」みたいなメッセージがくるといいかもしれませんね。
川田 テクノロジーで他言語の翻訳ってすごく進んでいるけど、日本語同士なのに話が通じないってことあるじゃないですか。全然つながれないわ、みたいな人と通じ合えたらいいなと思います。
田中 僕それ、ツイッターやってたら毎日ですからね。ブロックしまくってる。指紋がなくなるくらい(笑)。高桑さんは作ってみたいものはありますか?
高桑 彼氏に対してキレたときに言葉遣いが悪くなっちゃうことがあるんですが、やめたくてもやめられない。そんなとき、暴言を検知して相手が傷つかない、やわらかい言葉に変換してくれるアプリがあればいいなと思って、いま作っているところです。

川田 「死ね」って書いたのが「蚊にでも刺されろ」みたいになるわけね。それ、すごくいいね。だって、本当は死んでほしくないもの。
田中 自分をコントロールできずに、不運スパイラルへ落ちていくのを防いでくれるというわけですね。「開運研究所」では、運が開けて、少しでも楽しく暮らせるところにテクノロジーを実装していきたいと思っています。今回は、その第一回目の会議にふさわしい方に来ていただきました。川田十夢さんと高桑蘭佳さん、どうもありがとうございました。
第二部「占いの可能性」

世の中にはさまざまな占いがあります。今回、開運研究所のスタッフが新たに思いついたのは「シャープ家電占い」。シャープ製の「ヘルシオホットクック」を使っているときに「牡羊座っぽい」と思ったのがきっかけだとか。
単なる思いつきである「シャープ家電占い」は、本当に占いになるのでしょうか。占星術研究家のSUGARさんと一緒に作っていきます。また、シャープさんも巻き込まれて、なにか意見を言わなくてはいけないような雰囲気に……。ここに占いの新たな可能性が広がります。
コピー機は“乙女座”

田中 まずは、コンビニに置いてあるコピー機からいってみましょう。これはシャープ製?
シャープ セブンイレブン以外のコピー機はだいたい、シャープ製なんです。コンビニのコピー機って、住民票や印鑑証明書も印刷できるし、ブロマイドも印刷できる。いろんな機能がついている。
田中 この特性を星座に当てはめるとしたら……。SUGARさんいかがでしょうか?
SUGARコピー機なのに多機能で、いろんなことが器用にできる。乙女座にあてはまりそうです。乙女座生まれのキャラクターに例えると「ドラえもん」ですね。
カツセ 「ドラえもん」、多機能ですね、たしかに。
SUGAR多機能であるとか、いろんなことを器用にこなすとか、少し過剰に相手の期待に答えようとする。
シャープ 製品を星座にあてはめてもらえて言ってもらえるの、うれしいですよね。なるほどな、と思うし。いま、コンビニ入ってコピー機みたら、ちょっと眼差しが温かくなってると思う。
SUGAR家電と人を同じように扱う。日本人ってそういう意識あると思います。
田中 うちの家電だいたい名前ついてますもん。車とか掃除機とか、洗濯機とか。機械の中に人格見てるんですよね、きっと。
「どっちもドア冷蔵庫」は“魚座”
田中 次に聞きたいのは、「どっちもドア冷蔵庫」。これは右からでも左からでも、どっちからでも開くやつ。それなのにドアがとれないという。

シャープ とれへんです。これはもう40年前からある商品で。
田中 じゃあ、40年前の発売当初は、ちょいちょいとれたり……?
シャープ とれへん、とれへん。
田中 ドアはとれないそうです(笑)。SUGARさん、これは何座でしょう?
SUGARどっちからも開く。最初に直感的に思ったのは、決まった形式がないと言うか、どっからでも入れるし、決まった境界線がないというところからは、魚座を連想したんですね。
右からでも左からでも、どんな部屋や窮屈な場所とかでも入れやすいのかなと。一番最初にイメージしたのが、「ぬらりひょん」です。
カツセ 妖怪の?
SUGARするっと入って、いつの間にかお茶飲んでる妖怪です。おさまると思えないところに、おさまっていたりとか。魚座っぽい。あと、魚座って結構、セクシー。というか、ちょっとエロい。

カツセ 僕はぬらりひょんにセクシーさは感じませんが……?(笑)
田中 ぬらりひょんは魚座ってわけじゃない(笑)。
シャープ 「どっちでもドア冷蔵庫」はエロいと言われてしまいましたが……。どうなんかな?
(会場笑)
ヘルシオホットクックは“牡牛座”
田中 次はヘルシオホットクック。
カツセ これはどういうものなんでしょうか?
シャープ ヘルシオホットクックは、電気圧力鍋ですね。ボタンを押すだけで自動的に調理してくれるんです。特徴は、蓋の裏に食材をかきまぜるための棒がついてること。それで煮物や炒め物がムラなく加熱できる。
田中 これ、使っていらっしゃるかたいます(会場に)? 便利ですか? いい感じ?
観客 最高です。導入してから妻がすごく喜んじゃって。一度セットすれば、なにもしなくていい。みなさんもぜひ使ってみてください!

カツセ ちょっと、これは何の会ですか(笑)?
田中 ありがたいお客さんいましたね(笑)。
シャープ 気持ちいいですね……(笑)。たしかにヒット商品ではあるんですよ。
SUGAR食べ物は牡牛座と対応させやすいんですね。さらに牡牛座っていうのは、マイペースな星座なんです。食べるっていうことは生存に直結していますから。多少のことがあっても、止まらないようになっている。それって、ボタンを押すだけで自動的に調理が始まるホットクックにつながるかなと。
田中 ヘルシオホットクックは牡牛座だと。どうですか、シャープさん?
シャープ そう言われたら、そうなんだなって思います(笑)。SUGARさんの言語化する能力すごいですね。
この後も「実務電卓」を山羊座に当てはめるなど、議論はさらにエスカレート。しかし最後には時間が足りなくなり「残りは居酒屋で話をしながら完成させます」(田中)とゆるやかな雰囲気でイベントは終了。
最後に長谷川さんから次のような意気込みが語られ、会場からの拍手をもって設立記念イベントは終了しました。
「開運研究所では、開運につながる試みを今後もいろいろと続けていきたいと思います。開運研究所、これからよろしくお願いします! ありがとうございました!」

<クレジット>
取材・文/鈴木一禾(プレスラボ)